- Go into ths Space -
TAMRON SP 180mm F/3.5 MACRO on monopod
Shutter Speed = 1/800 sec, ISO = 800, AE = -1.00,
Color temperature = 4000K
最後は写真集のプリントノウハウです。
写真展は表現としての作品群を見ていただく絶好の機会。
でも、一週間しか見ていただけない刹那的な表現手段です。
折角やるのだから、恒久的な表現手段として写真集を作りたくなりました。
調べた範囲で写真集を作る方法は3つありました。
・ フォトブック
・ オフセット印刷
・ オンデマンド印刷
フォトブックは印画紙あるいはインクジェットプリントしたものを製本するもので、最近、様々なサービスが出てきました。JPEGのままプリントできるのが写真との親和性が高い方法です。一品制作が基本で、数を作っても単価は同じです。
また、自動化によるコストダウンを進めるためでしょう。レイアウトは数種類のテンプレートから選択する方法しかなく、自由度がありません。表現手段としては不適と判断しました。
市販されている写真集のほぼ全ては、オフセット印刷で制作されています。インクによる印刷なため発色がよく、装丁も多様です。版下を作るので数を作るのに向いている方法です。1000部くらい印刷すれば1冊1000円くらいで制作できそうですが、トータルの金額が予算を遥かにオーバーしてしまうので却下。
オンデマンド印刷は、印刷にカラーレーザープリンタを使う方法です。版下が不要なので低コスト、短納期でできるのが特徴です。チラシやパンフレットの印刷によく使われているようです。最近のデジタルにも親和性が高く、PDFファイルで入稿できます。
インクではないので発色はオフセット印刷やフォトブックには劣ります。カラーコピーの発色を思い浮かべていただければイメージし易いかも。ただ、使っている紙が違うのでカラーコピーよりは随分マシです。理由はよくわかりませんが、数を作成すれば単価が下がります。PDF入稿なのでレイアウトが自由にできることが、何より表現手段として魅力があります。1冊作っても2000円程度だったので試作して色の出具合等確認し、この方法に決めました。装丁の自由度はありませんが、そこは我慢しました。
なお、PDF作成には相当の試行錯誤が必要でした。
まず、色空間はRGBではなくCMYKです。
色空間を絵に書くと、sRGBやadobeRGBはRGBを3つの頂点にして三角形に近い形になりますが、CMYKは、この三角形にCMYの点で内接する円に近い形になります。つまり、CMYの色はRGBと遜色ない発色になりますが、RGBの色はかなり彩度が落ちます(純色に近い青、緑、赤の色がでない)。
RGBをCMYKに変換するだけで彩度が大きく落ちます(くすんだ色になる)。また、CMYKで表現できないRGBがデータに入っていると、CMYKに変換した際に色トビが発生し、グラデーションが崩れたり潰れが発生します。
これを防ぐためには、CMYKに変換する前に、元データのRGB分布をヒストグラムで確認、CMYKでは表現できない領域にある色はトーンカーブで領域内に納める変更をする必要があります。具体的には、トーンカーブの右端のポイントを190くらい(ヒストグラムの分布次第ではもっと大きな値でも可)まで下げてやります。その後、CMYKに変換すると色トビや潰れを防ぐことができます。
変換後、オリジナルのイメージに近くなるように、彩度、コントラストを調整します。表現できる色空間が大きく異なるため、オリジナルと同じにすることは不可能です。むしろ、別の作品を作る、という風に考えたほうがいいようです。
特に、GとBの表現領域が狭いので、GBのダイナミックレンジが大きな作品は印刷には不向きであることがわかりました。いくつかは別の作品に差し替えました。
今、手元に試作本があります。ハイキーの画は想定より暗くデータを修正しました。ローキーの画は黒が締まって色が想定より際立って仕上がり、オリジナルとは一味ちがう作品になりました。写真展とは少し別の世界を表現できたように思います。
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